在留資格「研修」で受入れ可能な研修
在留資格「研修」の活動については、「研修」の上陸基準省令に規定されていますが、次の1.実務研修を含まず非実務研修のみで行われる場合と、2.実務研修を含む場合とで、要件が異なります。
1実務研修を含まない場合の研修(非実務研修のみ)
- 1.技能等が同一作業の反復のみによって修得できるものではないこと。
- 2.年齢が18歳以上で帰国後に修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること。
- 3.住所地において修得することが困難な技能等を修得しようとすること。
- 4.受入れ機関の常勤職員で、修得技能等につき5年以上の経験を有する研修指導員がいること。
- 5.研修継続不可能な場合は、直ちに、受入れ機関が地方入国管理局に当該事実及び対応策を報告すること。
- 6.受入れ機関又はあっせん機関が研修生の帰国旅費の確保などの措置を講じていること。
- 7.受入れ機関が研修の実施状況に係る文書を作成し備え付け、研修終了日から1年以上保存すること。
などの要件を充足していることが求められるほか、不正行為に関する規定、受入れ機関の経営者、管理者、研修指導員などに関する欠格事由の規定があります。
なお、今回の改正では、非実務研修の定義がより具体的に規定され、たとえば、試作品製作実習については、商品を生産する場所とあらかじめ区分された場所又は商品を生産する時間とあらかじめ区分された時間において行われるものを除き、非実務研修に該当しないこととされました。
2実務研修を含む場合の研修
改正後の在留資格「研修」で受入れ可能な研修
実務研修を含む研修は、公的研修として認められる研修に限定され、「研修」の上陸基準省令第5号において、次のものがあげられています。
- 1.国、地方公共団体の機関又は独立行政法人が自ら実施する研修
- 2.独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修
- 3.独立行政法人国際協力機構(JICA)の事業として行われる研修
- 4.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油開発技術センターの事業として行われる研修
- 5.国際機関の事業として行われる研修
- 6.
(1)~(5)に掲げるもののほか、我が国の国、地方公共団体等の資金により主として運営される事業として行われる研修で、受入れ機関が次のすべてに該当するとき。
- I.研修生用の宿泊施設及び研修施設を確保していること。
- II.生活指導員を置いていること。
- III.研修生の死亡、疾病等に対応する保険への加入などの保障措置を講じていること。
- IV.研修施設について安全衛生上の措置を講じていること。
- 7.
外国の国、地方公共団体等の常勤の職員を受け入れて行われる研修
- I.受入れ機関が上記⑥の付加的要件のすべてに該当していること。
- 8.
外国の国、地方公共団体に指名された者が、我が国の国の援助及び指導を受けて行われる研修で、次のすべてに該当するとき。
- I.申請人が住所地において技能等を広く普及する業務に従事していること。
- II.受入れ機関が上記⑥の付加的要件のすべてに該当していること。
- 9.なお、これらの公的研修を行う場合であっても、上記1.の(1)~(7)までの要件や不正行為に関する規定、受入れ機関の経営者、管理者、研修指導員、生活指導員などに関する欠格事由の規定も適用されます。
(参考) 2010年7月入管法改正後の「研修」における活動内容
2010年7月1日の入管法改正で新たに在留資格「技能実習」が新設され、在留資格「研修」での活動は、「本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(入管法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄第1号及び別表第1の4の表の留学の項の下欄に掲げる活動を除く。)」と改正されました。
この改正により、制度改正以前に「研修」で行うことができた活動内容から「技能実習1号」に係る活動が除かれ、改正後の「研修」が適用される活動は、実務研修を全く伴わない研修、国や地方公共団体等の資金により主として運営される事業として行われる公的研修などに限定されることになりました。
なお、在留期間につきましては、現行の「研修」においても、1年又は6月となっており改正前の取扱いと変更はありません。