育成就労制度は、就労を通じた人材育成及び人材確保が目的です。
2024年6月に公布された改正入管法及び「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に基づき、外国人技能実習制度を発展的に解消し、新たに育成就労制度が創設されることとなりました。
育成就労制度の施行日は公布後3年以内とされておりますが、現時点では未定です。
なお、2025年4月28日から実施された育成就労法施行規則等に係るパブリックコメント(参照)においては、今後の予定として2027年4月1日施行とされています。
1育成就労制度の概要
育成就労制度の目的
育成就労制度は、育成就労外国人が育成就労産業分野において就労(原則3年以内)することにより、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的としています。
育成就労産業分野は、特定技能制度の受入れ分野である特定産業分野のうち、就労を通じて技能を修得させることが相当なもの、となります。在留資格は「育成就労」です。
技能実習制度との比較
技能実習制度 | 育成就労制度 | |
---|---|---|
目的 | 人材育成を通じた国際貢献 | 人材育成と人材確保 |
在留資格 | 技能実習1号、2号、3号 | 育成就労 |
期間 | 1号(1年)、2号(2年)、3号(2年) | 原則3年 |
転籍 | 実習先の倒産などのやむを得ない場合を除き、原則として認められない | やむを得ない場合に加え、1~2年経過で本人希望により転籍可 |
前職要件 | あり | なし |
帰国後の技能活用 | 復職または送出機関が技能を活用できる就職先をあっせんすることが求められる | なし |
日本語能力の要件 | 介護以外はなし | あり |
特定技能1号への移行 | 同一職種の場合、試験免除 | 試験合格が必要 |
育成就労外国人受入れの方式
- ①単独型育成就労:
- 日本の企業等(単独型育成就労実施者)の外国にある事業所の職員が、日本にある事業所で技能を修得しながら業務に従事
- ②監理型育成就労:
- 日本にある事業協同組合、商工会等の非営利法人(監理支援機関)によって受け入れられ、傘下の企業等(監理型育成就労実施者)で技能を修得しながら業務に従事
育成就労計画の認定
育成就労実施者は、育成就労外国人ごとに「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構による認定を受けなければなりません。
監理型育成就労においては、育成就労実施者が監理支援機関の指導のもと「育成就労計画」を作成する必要があります。
監理支援機関の許可制
育成就労外国人と育成就労実施者の間の雇用関係の成立のあっせんや、育成就労が計画にしたがって適正に実施されているかどうか監理を行う監理支援機関は許可制となります。許可基準には、監理支援事業の遂行能力や財政基盤のほか、外部監査人の設置などがあります。
また、監理支援機関は育成就労実施者と密接な関係を有する役職員を当該育成就労実施者に対する業務に関わらせてはならないこととされているほか、監理支援責任者の選任も必要です。
育成就労外国人に求められる技能レベル
就労開始時までに | 日本語能力A1※1相当以上の試験合格又は、それに相当する日本語講習の受講 |
---|---|
就労開始後1年経過時 | 技能検定基礎級等+日本語試験(A1相当以上の水準からA2※2相当以上の水準までの範囲内で分野ごとに設定)⇒合格が本人意向の転籍の条件 |
特定技能1号への移行時 | 技能検定3級等又は特定技能1号評価試験+日本語能力A2相当以上の試験合格 |
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なお、特定技能1号への移行に必要な試験等に不合格となった者は、再受験に必要な範囲で最大1年の在留継続が可能です。
※1(日本語能力試験N5等)
※2(日本語能力試験N4等)
受入れ環境の整備
- 季節性のある分野においては派遣形態による育成就労の実施が認められます。
- 育成就労外国人は、やむを得ない事情がある場合の転籍のほか、同一業務区分内での本人意向の転籍も一定要件のもと認められることになります。
- 転籍の際の職業紹介については、監理支援機関のほか、外国人育成就労機構、ハローワークが支援することになります(民間の職業紹介事業者は関与できません)。
- 送出国と二国間取決め(MOC)を作成するほか、外国人が送出機関に支払う手数料が不当に高額にならない仕組みが導入される予定です。
*2025年4月末時点の情報です。制度の詳細を定める主務省令、分野別運用方針等が公開されましたら、順次更新していきます。
2育成就労制度についてのよくあるご質問
Q.育成就労とはどういう制度ですか?
A.日本の人手不足分野における人材の育成・人材の確保を目的とする外国人材の受入れ制度です。
Q.育成就労はいつから始まりますか?
A.「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)が公布された2024年6月から起算して3年以内の施行とされており、現時点では未定ですが、2027年4月1日と一部で報道されています
Q.技能実習制度と育成就労制度の違いは何ですか?
A.制度の目的が異なります。技能実習制度は技能移転による国際貢献を目的とした外国人材の受入れ制度です。育成就労制度は日本の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする外国人材の受入れ制度です。
Q.技能実習制度から育成就労制度になることで何が変わりますか?
A.技能実習制度ではなかった就労開始時の日本語能力要件が育成就労制度では設けられます。また、技能実習制度では原則認められなかった本人意向による転籍が一定要件のもと認められます。一方で、技能実習制度で求められていた前職要件、復職要件は撤廃されます。
Q.技能実習制度での監理団体はそのまま育成就労制度においても監理支援機関になれますか?
A.監理支援機関になるには新たに許可を受ける必要があります。
Q.技能実習制度が廃止される理由は何ですか?
A.技能実習制度では、制度の目的(技能移転による国際貢献)と実態(実質的な人材確保)の乖離や外国人の権利保護などの課題が指摘されていたためです。
Q.育成就労の対象となる業種は何ですか?
A.特定技能制度の特定産業分野と原則一致させることとなりますが、国内での育成になじまない分野については対象外となります。特定産業分野のうち就労を通じて技能を修得させることが相当なものとなります。
Q.育成就労制度で外国人に求められる日本語能力レベルはどれくらいですか?
A.まず、育成就労制度開始までに日本語能力A1※1相当以上の試験の合格またはそれに相当する日本語講習の受講が必要です。育成就労制度における就労開始後1年経過時には、日本語試験(日本語能力A1相当以上の水準から日本語能力A2※2相当以上の水準までの範囲内で分野ごとに設定)の合格が必要です。特定技能1号への移行時には、日本語能力A2相当以上の試験の合格が必要です。
Q.育成就労制度では派遣形態による受入れは可能ですか?
A.季節性のある分野(農業や漁業を想定)においては派遣形態による受入れが認められる予定です。
Q.育成就労制度では家族の帯同は可能ですか?
A.原則として、家族の帯同は認められていません。
※1(日本語能力試験N5等)
※2(日本語能力試験N4等)
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