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定期協議

タイ現地視察会およびタイ労働省雇用局との協議について(報告)

 本視察会は、昨年9月6日に東京で行われた、監理団体とタイ送出し機関とのジョイントセミナーにおいて表明された、タイ労働省雇用局(DOE)の計画が実現されたもので、在京タイ王国大使館労働担当官事務所の企画・主催、当機構の協力により、実施されました。本視察会は2月24日から3月1日の日程で実施され、12の監理団体より17名が参加しました。本視察会では在京タイ王国大使館のアテンドのもと、タイからの技能実習生の事前教育施設や工業団地及び日系企業等を視察しました。また帰国した技能実習生の帰国後の活動状況について面談等を通じて知っていただく機会等もあり、参加した監理団体からは、タイ王国に対する理解が一層深まったとの声をいただくことができました。
 主な視察先は以下の通りです。
 西川・タチャプララート・クーパーは、広島市に本社のある西川ゴム工業株式会社の海外拠点のひとつ。同社のグローバル展開は20年ほどの歴史があり、今後メキシコ、インドネシアへの進出を考えています。タイ現地法人は、バンコクから北東へ約259㎞のタイ東北地方(イサーン)最大の都市にしてその玄関口に位置するナコーンラーチャシーマー(通称コラート)県に所在し、現在従業員は1,111名(うち、日本人は9名)で、主に自動車関連製品を製造しています。特に、ドアーウェザーストリップ(シール剤)は、日本の全自動車メーカーに納入実績を持ち、タイ国内にある8社の自動車メーカーの製品を供給している。特にマツダへの納入シェアは6割にのぼり、洪水後自動車メーカー各社が増産体制に入ったと同時に、同社も前年度ベストレコードを記録しました。
 現在同社は、企業単独型受入れと西日本海外業務支援協同組合を通じた団体監理型受入れを実施しており、今回の訪問では、現地法人から直接送り出され、現在復職し、裁断、仕上げ、納品を担当している10名の帰国技能実習生と面談することができました。インタビューではみな一様に「日本に行けてよかった」「また日本に行きたい」と答えていました。

バンコクから259㎞のコラート県にある
西川・タチャプララート・クーパー社に
到着した視察団
左奥:西海協小林総括顧問(左)と
斎藤社長

 ベステックス (タイランド)は、四日市市にある株式会社ベステックスキョーエイの現地法人で、ダッシュボード等の骨組み等自動車部品の製造しており、主にホンダ関連と取引があります。洪水被害を受けましたが、2012年4月に復旧稼働し、現在好景気にわくタイ自動車業界で右肩上がりの成長を続けています。
 8年前に親会社が日本トータル情報事業協同組合を通じて、溶接や塗装の12名の研修生を受け入れました。現在では毎年20名ずつ受け入れており、子会社で身に付けた技術を、親会社で仕上げて復職してもらうことを期待して送り出しているそうです。
 日本トータル情報事業協同組合では、4年ほど前に独自で、タイ国内での人材の確保と技能実習生の復職のためのシステムを構築したところ、復職率は6割程度となっています。
 このシステムは、東北部にある4つの工業短期大学と提携し、バンコク近郊の日系企業(トヨタやホンダ)で半年間実習させ、基礎的な技能を修得させるというインターンシップ制度(タイの労働法においては18才以下に夜勤及び残業を認めていないので正規の雇用にはむかないため)を活用するものであり、実習先企業の評価の高い者に対し、技能実習制度で日本に行きたい人材を募集するという方法を採っているとのことでした。

洪水後に設置した堤防2列目一番左:日本トータル情報産業(協)
前岨専務理事と山下社長(左から3番目)

 タイ・マルジュンは、大垣市にある株式会社丸順の現地法人で、自動車用車体プレス部品、金型を製造しており、ホンダの一次下請けです。同社のある中部アユタヤ県のサハラタナナコン工業団地は洪水時浸水により水位が3メートルとなり、工場が2ヶ月の間、深さ2~3メートルの水に沈み、大きな被害を受けました。その後2ヶ月間代替生産を行いつつ、3ヶ月間かけて水没した機械設備の洗浄や新規購入を行い、本格的に生産を開始しました。当日は、同社のタイ人従業員が撮影した洪水被害と、その後の復興についてのVTRを鑑賞し、親会社の社長自らがタイ入りし陣頭指揮をとる様子や、タイ人従業員と日本人従業員が協力して事に当たり、見事に復興を遂げたこと等が克明に分かる内容になっていました。
 現在は、本年12月完成予定で現地より40㎞離れた高台に新工場を建設しており、完成後は親会社より設備が整ったものになる見込みです。実際近年日本での生産量は年々減っており、タイへのシフトが一層進む形となります。日本トータル情報事業協同組合を通じての送出しも、今年度から行わないとのことで、完全失業率0.4%と最低賃金のアップ等の向かい風の中、今後独自でタイ人従業員の確保と育成を行っていく予定です。
 技能実習生の復職率は5割程度とのことで、今回インタビューした帰国実習生は、日本での生活を振り返り、もう少し日本語を学習したかった、もう少し長く日本にいたかった、日本では仕事のやり方やテクノロジーを学んだと語っていました。

復職した元技能実習生たち洪水時浸水した深さを示すプレートには
3.86メートルと表示されていた

 労働省雇用局(DOE)への表敬訪問の際には、DOEのウィナイ副局長より、監理団体に対して歓迎の意が示されました。視察団を代表してTIC協同組合の畩ヶ山理事長より、日本企業からの投資も増えているので、今後タイからの技能実習生の受入れは増加すると予想している。タイから送り出したい業種があれば、教えて欲しいとのご挨拶をいただきました。
 これに対して副局長より、洪水被害で日本企業が撤退してしまうのではないかと心配しましたが、今年1月に安倍首相がタイを訪問し、両国の協力体制をあらためて確認できたので、制度についても相互の発展につながっていくと思うとの発言がありました。
 送出し職種については、現在タイからの技能実習生が多い溶接や農業に関して、中東やイスラエルにも送り出しており、韓国や台湾も就労渡航先として人気があり、マカオのホテル等も待遇がよいということで、最近は多くのタイ人が働きにいっている。つまり条件がよければ候補者は集まるので、今後とも技能実習生の処遇や対応について正当性や公平性を大切にしてほしいとのコメントがありました。

タイ労働省雇用局ウィナイ副局長
(一番左)
タイ労働省雇用局と視察団との記念
撮影

 その他、アユタヤ近郊の工業団地、バンコク市内にある送出し実績の高い送出し機関や日系企業が多数所在するバンコク近郊のサムットプラカーン県職業教育高等学校を訪問しました。

多くの日系企業が入居するアユタヤ近郊の
ハイテク工業団地を視察
バンコク近郊の職業教育高等学校では
学生の熱烈な歓迎を受ける。
中央は、在京タイ王国大使館のチャンタナー
公使参事官

(前ページ写真のキャプション)
送出し機関による「技術」の事前教育
送出し機関による「日本語」の事前教育

 本視察会終了後の3月1日午前、当機構の都筑常務理事とDOEのウィナイ副局長らとの間で協議を実施しました。
 冒頭、副局長より、技能実習制度の運営業務に携わっている実務担当者を出席させているので、率直な意見交換とお願いしたい、特に制度について問題点や改善点等の意見があれば聞きたいとの話がありました。

 これに対して都筑常務より、今回のツアーについて成果報告を行いました。特に実際に現地を視察することによってタイへの進出等に関する不安を払拭することができたのではないか、またタイが高い経済発展にあることを考えると、参加した監理団体も、タイとは、他の国とは違う形の協力体制のもと、制度を活用することができると感じたのではないかと話しました。

 その上で、雇用局に対し次の要望を行いました。(1)技能実習候補者の育成や募集及び選抜に関して労働省として支援してほしい、(2)帰国技能実習生の雇用先の確保のために送出し機関の国内職業斡旋を認めてほしい、(3)高専の溶接等の技能修得プログラムを活用してよりレベルの高い技能実習生を派遣するシステムを構築してほしい。

 これに対して副局長より、民間の人材派遣会社からの送出し(団体監理型受入れ)に関しては、技能実習生に対して送出し機関や監理団体から多額の経費が請求されるケースがあると聞いており、その理由として制度の運営に経費がかかりすぎるからと認識している。雇用局はタイ国内において民間派遣会社を管理しているが、JITCOとしてもそういった民間派遣会社の行いについて認識してほしいし、懸念を共有してほしいとの発言がありました。また帰国技能実習生等の雇用先の確保については、帰国生名簿をもとに積極的に採用してもらえるように広報していきたいと述べられました。

労働省の入り口雇用局との協議

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