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バックナンバー(2006年度)

事例9 受入れ機関の連携を通じた日本語教育の実施 -日本語弁論大会の開催-
(情報ハイウェイ(協)、関通国際交流事業(協)、情報リンク(協)、情報ベンチャー(協))

2007年3月


 日本語教育は、研修・技能実習期間を有意義なものとするためには欠かせない要素の一つです。これまで、日本語能力検定合格者に対する報奨金の贈呈、研修生・技能実習生向けの情報誌の作成、個人指導等の工夫を施した日本語指導の事例を取り上げてきましたが、今回は受入れ機関の連携を通じ、より実践的な日本語教育に取り組んでいる4組合の例をご紹介します。


2006年5月3日(水)、神戸市オリエンタルホテルにおいて、情報ハイウェイ協同組合、関通国際交流事業協同組合、情報リンク協同組合、情報ベンチャー協同組合の4組合合同主催による、「第1回日本語弁論大会」が開催されました。出場者は、4組合の中国人研修生・技能実習生約1,000人の中から厳格な審査を経て予選を通過した20名で、それぞれ「私と日本の家族」、「日本での研修生活」、「日本語について」等、日本の生活や文化に触れて感じたこと、研修・技能実習を通して感じたことについて弁論を行い、会場は深い感動に包まれました。

 このうち、組合職員や兵庫県職業能力開発協会、JITCO職員から成る審査員5名によって、最優秀賞が1名、優秀賞が3名、優良賞2名が選ばれました。

最優秀賞
最優秀賞に選ばれた賈玉聡さん(情報ハイウェイ協同組合)


 4組合は異業種の組合で、中部・関西・中四国を基盤地区とし、高速道路関連と共同購買を主体事業として活動していましたが、5年前より外国人研修生共同受入事業を開始しました。各組合の理事長は、連合会また中央会等の集まりの中で懇意になり、その繋がりをもとに「情報グループ」を形成しました。

 これまで、研修生・技能実習生受入れ事業に関する組合職員同士の情報交換を行うことはありましたが、研修生・技能実習生を交じえたイベントや交流の場はなく、各組合とも更なる連携強化の必要性を感じていました。また、研修生・技能実習生と組合・企業間の相互理解を深めるためにも、日本語のコミュニケーション能力を向上させることが不可欠であるという共通認識もありました。

  そこで、情報ベンチャー協同組合が組合独自の取り組みとして、2005年より開催しているバーベキュー・パーティー、日本語弁論大会、合唱コンクール等を盛り込んだ「夏休み研修生交流会」を参考に、拡大版として、今回4組合が共催で日本語弁論大会を開催することとなりました。

合唱コンクール
夏休み研修生交流会(合唱コンクール)

 4組合では、それぞれが自前の教材の作成や交換日記の実施、練習問題の配付・添削、日本語能力検定試験対策の一環としての模擬テストや検定試験終了後のアンケート調査の実施、JITCO主催の「日本語作文コンクール」への積極的な応募等を通じ、研修生・技能実習生の日本語能力の向上に努めてきました。また、今回弁論大会に出場するにあたって、特訓を実施した受入れ企業もあったようです。 さらに、読み・書きだけではなく、コミュニケーション能力も向上させるため、食事中は出来るだけ中国人だけで固 まらないよう日本人社員が彼等と同じテーブルに座るように心がけたり、祭りやボランティア活動に参加し地域住民と触れ合うことにより、研修生・技能実習生受入れ事業や研修生・技能実習生のことを理解してもらう、といった取り組みにも力を入れてきました。

中華麺を披露
夏祭りで地域住民に手作り中華麺を披露(関通国際交流事業協同組合)

                           
 
  日本語弁論大会について、4組合とも「本大会に参加して良かった。」という感想を持っています。情報ハイウェイ協同組合の坂手さんからは、「大会を経て、企業や研修生・技能実習生の間の交流が一層盛んになりました。」というコメントがありました。
  また、情報ベンチャー協同組合の高島さんも、「出席した研修生・技能実習生は、他の企業の研修生・技能実習生と比較して自分達の日本語修得レベルがどの程度に位置づけられるかを把握出来たようです。組合としても、今後何に重点を置いて指導を行っていけばいいかが明確になりました。」と本大会の効果について述べています。

大会後、4組合では弁論内容を取り纏めた作品集(左下)と出場者の練習風景や当日の様子を録画・編集したDVD(右下)を作成し、各企業に配布するとともに、2006年6月末に創刊したJOHOグループの情報誌「に~はお通信」にも記事を掲載しました。

 

カタログ DVD


 
  これらは惜しくも落選し、出場できなかった、或いは当日20名の出場者の弁論を見ていた研修生・技能実習生に大きな刺激となり、彼等の日本語学習へのモチベーション向上に役立つツールとなったようです。

  2007年に入ってからは、4組合合同の会合で、第2回目の大会の実施日を決定(2007年6月2日を予定)し、現在当日に向けて着々と準備を進めています。現段階で決定している事項は、弁論テーマ及び出場者数の拡大、審査プロセス等です。
 
 規模の拡大によって、出席者数も今回の約100名から倍程度増えることが予想されており、本大会の事務局担当者の一人である関通国際交流事業協同組合部長の相賀さんによれば、「各企業、特に生活指導員の方々の本大会の開催についての理解が求められています。」とのことです。

 次回に向けての意気込みを伺ったところ、情報リンク協同組合の深澤さんより次のようなお話がありました。
「当組合の出場者は、今回準備不足だったこともあり、ステージに上がった時は緊張して棒読み状態となってしまいました。来年は、入賞を目指し、十分に準備した上で当日に臨みたいと思います。」

 また、今回参加した同組合の傘下企業、山一商事株式会社の研修生肖永さん、同社の専務取締役の山下喜一郎さんから下記のコメント(原文を反映)がありました。
  「去年の弁論大会を通じて、僕は研修生・実習生の皆の日本語への熱意を感じました。また、組合や会社の皆さんの僕らへの気遣いのありがたさに心から感謝いたします。今年も自分の気持ちや経験を皆さんに伝えたいと思います。どうぞ、宜しくお願いいたします。」(肖さん)
  「日本と中国の架け橋として頑張る研修生と実習生。自分達の思いを日本語で伝えることは他のどんなことよりも勉強になります。今後も積極的に参加してもらいたいです。」(山下さん)

 第2回日本語弁論大会開催まであと3ヶ月。現在4組合の研修生・技能実習生は3月の第一次選考に向けて、応募のための作文作成に励んでいます。