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バックナンバー(2006年度)

事例8 地域活動を通じた国際交流を目指して  (協同組合ウイング鳥取)

2007年3月


 外国人研修・技能実習制度の本旨である、「日本で修得した技術・技能の移転を通じた国際貢献」を円滑に行うとともに、限られた期間を研修生・技能実習生本人にとって思い出深いものとするためには、外国人研修・技能実習制度に対する地域住民の理解を得る努力を続けること、研修生・技能実習生と彼等の交流の機会を出来るだけ多く設けることが重要となります。

 実際、受入れ機関の中には、地域の祭りへの参加、高齢者や小学生との交流会の開催等を通じ、研修生・技能実習生の存在や受入れ機関自身の活動を積極的にアピールし、国際交流事業に力を入れているところがあります。今回取り上げる協同組合ウイング鳥取もそうした受入れ機関の一つです。

 同組合の傘下企業で弱電関係の事業を営む5社は、元々地元商工会の監理の下で研修生・技能実習生受入れ事業を行っていました。しかしながら、市町村合併の影響で、人員や財政が縮小し、第1次受入れ機関である商工会が受入れ事業から撤退したため、その後これら5社が集まって協同組合ウイング鳥取を立ち上げたのです。

2006年12月に中国の長春市や大連市出身の第1期生21人が入国すると、早速、集合研修の中で地元の鳥取県や警察、消防関係者を講師として招き、同県の文化や産業、生活上の注意点等をテーマにした講義を実施するとともに、集合研修の最終日には反省会を兼ねた食事会を開催しました。これらの講義は日本の生活や文化に不慣れな研修生たちに安心感と「自分達は期待されている」というやる気を与える良いきっかけとなったようです。


防犯講義

鳥取県郡家警察署による防犯講義

救助訓練

鳥取県八頭消防署による救助訓練




 また、同月13日には雨天の中、研修生全員と組合関係者が鳥取砂丘の清掃を実施。砂丘の管理事務所関係者の指導の下、約1時間をかけ、空き缶やペットボトル、ライター等ごみ袋約20袋分を分別回収し、実地でゴミの分別方法や環境保護の大切さを学んでもらうという活動も行いました。この体験学習は、参加した研修生からも好評で、砂丘のや日本海の風景に感動するとともに、環境を守ることの大切さも学んだようです。

 

表敬訪問

鳥取砂丘清掃前の鳥取県庁表敬訪問

清掃風景

清掃風景



 以下は当日の出来事を記した研修生の日記の一部(原文)です。
「きれいな砂丘が見えました。砂がとても柔らかかったから、その上に踏んだ時気持がよかったです。海岸線でほとんど全部ごみを掃除しました。とても、小さいごみでも拾いました。みんな本当にまじめでした」

「今度の活動は面白いです。環境の保つのは人間の責任があります」

「砂丘は広い。雄大だ。隣の日本海はきれい。大好きですね。社長たちと皆は一緒に掃除しました。この事は環境に役立ちます」

こうした積極的な地域活動はメディアの注目を集め、昨年12月から今年1月の間で、地元の新聞4紙、テレビ2局で報道されました。

「地域活動を通じた国際交流」、「研修生の思い出作り」という当初の目的が達成されるとともに、組合の取り組みが鳥取県全域に知れ渡るという嬉しい結果となりました。
    

同組合がこれほどまでに様々な企画に力を入れる理由として、事務長の坂本さんは次のようにお話ししてくれました。

「以前、ある傘下企業が商工会の下で研修生・技能実習生の受入れを行っていた時、同地域に在留していた中国人数名(研修生・技能実習生とは無関係)が自動販売機荒らし事件を起こし、地域住民の中国人に対する見方が厳しくなりました。それ以来、研修生・技能実習生が外で大声で話をしていると、言葉の問題もあり、「何か悪いことをたくらんでいるのではないか」と考える人が高齢者を中心に増えてしまったのです。 また、ゴミの分別に関連したトラブルもありました。原因を考えたところ、当時、受入れ企業が地域活動を重視しなかったため、地元住民の理解を得ること、草の根の国際交流を図ることが出来なかったのではという結論に至りました。こうした反省を踏まえ、地域への貢献に重点を置いた活動を積極的に実施していこう、それと同時に研修生・技能実習生にいい思い出を少しでも多く持って帰国してもらいたいと思ったのです」

 今後、同組合では、地元の自治体の協力を仰ぎ、夏祭りへの参加、保育園や小学校の子供達との交流も企画しているそうです。そして、今回好評であった鳥取砂丘の清掃活動も是非継続していきたいと考えており、次回以降は、毎年春・秋に地元住民が大々的に実施している一斉清掃への参加を検討しているとのことです。

「地域住民との交流が増えると、日本語を覚えざるを得ませんので、そういった意味でも研修生のためになると思います。今回の参加者は、研修生と組合職員が中心だったので、次回は受入れ企業各社の社員の方にも是非参加していただきたいですね」

坂本さんや内藤専務理事を中心とした、協同組合ウイング鳥取の取り組みはまだスタートしたばかりです。