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バックナンバー(2006年度)

事例7 帰国前までの日本語能力試験3級合格を目指して 
-会社一体となった日本語教育への取り組み- (株式会社シー・アンド・エム)

2007年2月


 福井県鯖江市にある株式会社シー・アンド・エムは、第一次受入れ機関である財団法人中小企業国際人材育成事業団(以下、アイム・ジャパン)の指導の下、1998年1月より年2回のペースでインドネシア人研修生・技能実習生の受入れを行っています。受入れ職種は、電気めっき作業でこれまでの受入れ数は32名を越えました。
  
 受入れ目的は、「国際貢献をしたい」 という会社の方針によります。実は、 以前海外進出の誘いがありましたが、 会社としては、「海外進出でリスクを 負うよりも外国人を受け入れて技術 ・技能を修得してもらう方がいい」 と考えたので、その誘いは断り、現 在も国内事業所における人材育成・ 技術移転を行っています。


集合写真

集合写真


 同社は研修・技能実習事業の中で日本語教育に最も力を入れており、その徹底ぶりはアイム・ジャパンの広報誌で取り上げられたこともあるほど有名だそうです。

 研修生は、来日前4ヶ月間の事前研修で日本語や日本の生活習慣を学んできますが、入国直後の3ヶ月間は、安全衛生に関する日本語を覚えてもらうため、毎日宿題を課しています。また、2ヶ月程度経過した頃からは、研修生一人一人に担当者(同社の日本人社員)をつけ、研修生が書いた研修報告書(日誌)の添削をしたり、小学校1年生から6年生対象の漢字学習帳を活用したりします。全員が帰国までに少なくとも日本語能力試験3級に合格することを目標とし、教材や検定料等試験に係る費用は全て会社負担としています。さらに、3級合格者に対してはインターネットからのニュース、担当者が使った中学時代の国語の教科書を使って指導を行っています。

 最初のうちは、宿題の多さに気が滅入る研修生もいるようですが、ハードなカリキュラムをこなしていくうちに、1年後には日本語能力試験3級レベルに到達するまでになっています。さらに、担当者にとってもマンツーマン指導用ノート作成を通じ、分かりやすい指導方法を研究することで、勉強になっているようです。


集合研修 マンツーマン指導の様子 担当者の添削済みの研修報告書

集合研修

集合研修

担当者の添削済みの研修報告書


生活面については、同社がインドネシアの各地域から受入れを行っており、研修生・技能実習生の間の地域対立に繋がることを防ぐため、原則として同国人同士ではインドネシア語で話すよう指導しているとともに、日本語を出来るだけ使うように言っています。
  また、社内のレクリエーションを通じて日本の文化に触れる機会を出来る限り設けるとともに、研修生・技能実習生自身も日本人従業員や地域住民との自主的な交流を通じて日本語によるコミュニケーションを行うよう努めています。


茶道体験

茶道体験

地元小学校との交流

地元小学校との交流


 部長の寒蝉義朗さんによれば、「日本語教育に力を入れようと考えたのは、(1)金銭目的だけで日本にいてほしくない、(2)帰国までに最低日本語能力試験3級に合格してほしい、(3)品質管理を徹底しているので、その意味でも日本語を覚えてほしい、という社員全員の思いがあるそうです。また、電気めっき作業は、会社によって使用する機械が異なるため、機械の操作方法だけを覚えても、それを帰国後に活用することは難しく、その意味でもプラスアルファの知識や技能を身につけて帰って欲しいと考えています。ハードなカリキュラムは、受入れ当初から実施していますが、2期生が日本語能力試験2級に合格したことで、自信を持つことが出来ました」とのことです。
また、マンツーマン指導にあたられている永田伊津子さんからは、「研修生の日本語が上手になることで、自分に自信を持ち、日本人とたくさん話して仲良くなってもらいたい。そして、人との関わりの中で、いろいろな経験をし、成長してほしい」とのコメントがありました。

 会社が一体となった日本語教育への取り組みは、確実に成果を上げており、これまでに
日本語能力試験2級に4名、3級に19名が合格しました。さらに、この8年の間に、アイム・ジャパン主催の「安全衛生作文コンクール」においても8名が入賞したとともに、
JITCO主催の「日本語作文コンクール」にもこれまで2名が最優秀賞に、6名が佳作に入選するという快挙を成し遂げています。


アイム・ジャパン主催の「安全衛生大会」で表彰される技能実習生

アイム・ジャパン主催の「安全衛生大会」で表彰される技能実習生

今年の「日本語作文コンクール」の入賞者

今年の「日本語作文コンクールの入賞者



 日本語能力試験について、寒蝉さんは、「3級までの内容は、他人に言われて勉強しても合格できる内容ですが、2級以上は、それよりも本人のやる気に合否がかかっているので、こちらの努力にも限界があります。また、大きなスパンで見ると、勉強をする時期がある一方で、勉強をしない時期もありますし、厳しい環境についていけない者もいます。その中で、継続して勉強を続けた者が結果を出すことが出来るのだと思います」とコメントしています。

 最後にマンツーマン指導を通じて感じたことを伺ったところ、以下の通りお話がありました。
 
上坂美智子さん「最初は異国の人と関わることに対して興味半分、怖さ半分でした。今は、彼らの親から大切な息子たちを預かっている気持ちです。こちらでの経験が帰国後、何らかの形で彼らの役に立てばいいと思います。その貴重な3年間が充実したものになるためのサポー トを少しでもしてあげたいと思います」
 
前野見幸さん「私と研修生は同年代で、先生というより彼らの兄弟のような気持ちでいます。彼らには日本で少しでも多くのことを学んで、帰国後はその経験を生かし、活躍して欲しいと思っています。私自身も彼らから学ぶことも多く、人生の中で貴重な経験をさせてもらっていると思います」

 引き続き同社では、初の日本語能力試験1級合格者輩出を目標として、日本語教育に工夫を凝らしたいと考えています。また、最近帰国生の間で活発化している同窓会の組織化も数年以内に実現し、トータルで実り多い事業に発展させていきたいと考えています。