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バックナンバー(2006年度)

事例4 帰国後も視野に入れた人材育成と技能修得の促進
(株式会社ユタカ技研)

2006年12月


 現在、外国人研修・技能実習制度を活用して日本で研修・技能実習を行う外国人のうち、タイ人の割合は2.4%と多くはありませんが、その中で熱心な取り組みを行なっている株式会社ユタカ技研を訪ね、お話を伺いました。

 (株)ユタカ技研は、自動車の安全性、快適性と共に高水準な環境性の両立を求めている自動車部品製造会社です。同社は本年度設立20周年を迎え、本社のある静岡県浜松市を中心に世界9カ国でグローバルな活動をしています。
  同社は2003年度より、第一次受入れ機関である(財)中小企業国際人材育成事業団の支援のもと、タイから研修生の受入れを始めました。タイ人研修生たちは、同社タイ現地法人近県出身の20代の男性で、現地法人が求める厳しい資格選考を経て選抜されています。
  同社はタイに海外現地法人を設立していますが、現地の有望な人材確保のため、第一次受入れ機関に依頼し研修生の募集を開始し、現在第二期目の研修生が来日して日々OJTにて新たな技能修得を進めています。

 技能実習生たちから「日本のお兄さん」と慕われている同社担当の鈴木氏は、「当社は研修制度についてまだ充分理解が深まっていないことから、第二次受入れ機関として研修生の受入れを始めました。将来的には帰国した技能実習生が、現地法人の貴重な人材になってくれることが夢です。グローバル化の中でも、物づくりに関しては人材の育成が必須です。当社のタイ現地法人は設立からまだ4年足らずで、物を作るのに精一杯で人材育成が追いついていません。受入れを始めて日が浅く、帰国研修生の就職など今後検討することは多いですが、受入れた研修生たちがマネイジメントの部分を含めて、日本企業について理解を深めてくれるような体制の実現を求め、試行錯誤の毎日です」と語ります。
  

鈴木指導員
技能実習生用の「生活案内」を作成する
鈴木指導員
 
鈴木指導員作成のオリジナル「生活案内」



 研修・技能実習場所は本社のある浜松市で、本社の工場敷地内で金属プレス・溶接などのさまざまな研修を行っています。彼らの指導員のほとんどの方々は、海外生産拠点での指導経験に富み、外国人研修生への指導ノウハウを持っているそうです。このため技能実習生たちにマンツーマンで指導を行うことができる態勢を取ることができ、手溶接のように手作業の技術が必要な作業もじっくり修得させることができます。
  また、技能実習生たちもその指導についていけるだけの熱意、能力を充分に持っており、これまで期待に沿えていないものは、誰一人いないそうです。同社の受入れは始まったばかりですが、技能・技術を修得させる指導体勢はもとより、研修生への周囲の理解も長年の海外戦略により培われています。

 研修・技能実習に関しては全くといっていいほど問題がなかったそうですが、生活面や言葉の面では初めての受入れは苦労があったそうです。鈴木指導員は生活面での目的は、「日本の文化・習慣に慣れさせること」と「日本語の習得」の2つが大きな柱であると言います。

 日本の生活に慣れるための具体的な取り組みとして、鈴木指導員はオリジナルに案内を作成しています。「特にゴミの分別を理解させるのが大変でした。日本のゴミの細かい分別は一例で、タイでは役に立たないかもしれませんが、日本の習慣を覚えさせるということで、将来タイの日本企業で働く際の安全管理・生産管理・品質管理など管理面での理解に活かされると思っています。」と鈴木指導員は熱意の源を語ってくれます。
  また日本語教育にも力を入れており、毎週金曜日には同社が依頼している日本語教師の授業を行っており、現在の技能実習生たちは全員日本語検定3級に合格し、今は2級合格を目標に頑張っています。同社タイ現地法人の現地社員が本社に来日した際には、研修生たちが率先して現地社員の日本の生活の仲介が出来るほどの上達ぶりだそうです。


指導を受ける研修生

    指導員の指導を受ける研修生


 このような熱心な指導や、生活環境の整理から、技能実習生たちも日本での研修の成果を実感しています。研修・技能実習2年目のデーンタイソン君は「日本に来て、最初はゴミの出し方の違いなどで戸惑ったこともありましたが、日本とタイは似ている部分も多いので現在は生活習慣に慣れました。今行っている金属プレスの技能実習は順調に行っているので、帰国後もこの技術を活かして、更に自分のキャリアを進めていきたいです。」と、静かな話し方にも研修・技能実習が2年目である自信を窺わせながら話をしてくれました。他の技能実習生たちも、帰国後はクレーン操作の免許を取得する目標を持っています。彼らは、シャイで自分から話をきりだすようなことはありませんでしたが、帰国後はさらに努力しようとする強い意志が少ない口調のなかに感じられました。
  また休日の過ごし方については「休日はみんなでサッカーをやっています。たまに他の社員の人たちとチームを組んで試合もしますよ」とチェーンサナーム君は語り、日本での生活の充実ぶりを伺い知ることができました。それに加えて彼らが研修・技能実習について話をするときの表情がとても楽しそうであったことが、毎日の充実の最大の証だと言えます。

 

タイ人の研修生たち

タイ人の研修生たち


これらのように同社のタイ人研修生の受入れはまだ始まったばかりですが、今後も帰国後のフォローアップを中心にさらなる人材育成と技能修得の促進を目指していくことが窺えました。


以上