バックナンバー(2005年度)
事例14 研修日誌を研修・生活指導に有効活用
(島根県中央アパレル協同組合の傘下企業 有限会社エイブル)
JITCO調査相談員等が、実地調査のため受入れ機関を訪問させていただく際に、留意事項として指摘することが多いものの一つに「研修日誌の作成不備(未作成あるいは作成の頻度や内容が不十分等)」があります。
研修日誌は、受入れ機関にとって、研修の進捗状況を自ら把握するための有効な手段であるとともに、地方入国管理局から監査報告書とともにその写しを提出することが求められる重要な書類です。
研修日誌をきっちり付け、記録された内容を有効活用している受入れ企業の一つが、島根県中央アパレル協同組合の傘下企業である有限会社エイブルです。同社は、島根県津和野町在の縫製業社で、これまで8年間にわたり中国から研修生・実習生(女性)の受け入れを行っています。
同社では、各週分の記録を、①研修指導・生活指導の内容を項目立てて左ページに、②トピックスやエピソードを右ページに記録しています。
同社小松社長はこう言います。「彼女たちは、初めのうちは、表現したい気持ちと、実際に使える日本語の語彙が限られていることとのギャップから、会話の際に腹を立てることが多く、また、一方では、分かった振りをするため問題が起こります。一つずつ、忍耐強く確認をとりながら理解を深めていくことが必要と考えます。そのためにも、何か問題が起こった時には、『以前にも同じようなことがあったなぁ・・・・』と、過去の経験を日誌で再確認しながら最適な対応策を模索するように心がけています。」
![]() (送出し機関、地方人民政府との会合) |
![]() (研修生の実家を訪問) |
エイブル社の研修日誌には、主たる記入者である同社小松社長の研修生・技能実習生を気遣う気持ちがにじみ出ており、また、研修面・生活面を如何に改善・解消していくべきかが一生懸命検討されています。
具体的には、日々の研修内容を単に事務的に記入するのではなく、例えば、「研修遂行面で壁に突き当たったこと、またその解決をどのように図っていった か」、「研修生から受けた技術面・生活面の質問事項とそれに対しどのように説明し納得を得たか」、「研修生からの要望事項とその対応策」等、研修推進上の 技術面あるいは生活面のトピックスやエピソードを日誌余白欄にメモしておくなどの工夫を凝らしています。小松社長の言葉にもあるとおり、このような研修日 誌の活用が日々の円滑な研修の実施を可能にし、全体としての研修成果の向上に大きな効果を上げていると言えます。
同社の研修日誌におけるエピソードの記載イメージは、次のとおりです。

| ○○日(△曜日) | 午後、役場に外国人登録に連れて行く。また、郵便局、銀行、日用品の買い物をする際の主なお店等、津和野町を案内した。特に自然豊かな山や川等の環境をみてもらった。必ずしも若い人向きの生活環境とはいえないため、生活に慣れるまでの間のストレス発生を心配している。 |
| ○○日(△曜日) | 日本語練習。「ここはどこですか?」「何がありますか?」「何をしていますか?」等。教科書をみながら練習する。応用が全くできない。3人とも考えようとせず、すぐ「わかりません」と言う。私があせっているのだろうか?教え方が何か間違っているのではないだろうか? |
| ○○日(△曜日) | 昨日の反省に基づき復習。なかなか軌道にのれない。よく考えてみると、突出した者がいない。3人ともほとんど同レベル。そのため、引っ張る者がいない。一つのことがなかなか前に進まない。勉強の仕方を変更する以外にない。 |
| ○○日(△曜日) | 今日から午前中は工場で皆の中に研修生を入れてみる。実習生一人が研修生一人について研修指導の補助をする。 日本語について、今までの復習をした。数、月、曜日を繰り返し勉強した。 |
| ○○日(△曜日) | 実務は昨日の続きを行った。 日本語は、今日から会話に入った。自己紹介は「いつ日本にきました」等を繰り返した。なかなか上手くしゃべれないが、仕方がないこと・・・。我々を振り返れば同じことだ。中国語で挨拶出来るまでに何年かかったことか・・・。温かく見守る。 |
| ○○日(△曜日) | 実務研修。Aさん:主に本縫い。ポケット部分。Bさん:穴あけ、ネーム付け等。 日本語:今日は良くがんばった。良く理解した。「ここはどこですか?」「あなたは誰ですか?」「私は・・・です」「家族は・・・です」等 |
| ○○日(△曜日) | 今週は16:00時までは通常のトランクス・ニット各班で定番の研修。16:00からは、1時間メリヤスの生産に入るが各人の分担を決めて研修してもらう。 Aさん:オーバー袖付けを今週でクリアーしてもらいたい。 Bさん:オーバー肩はぎ、袖付け。この子は、オーバー関係が慣れているので分野を広げ研修を行う予定。 Cさん:首周り本縫い等 |
| ○○日(△曜日) | 以前からたびたび前あわせの柄が合わなかったが、その原因がやっとわかった。研修生は、レベルは高いが自己流でやっている。これまでも注意したが「中国ではこれで良い」といってきかない。逆に、「日本では何故このやり方をしないのか」と質問してくる始末。これに対して明確に回答することができなかった。しかし、「日本と中国のやり方が異なることが判明した。つまり、中国の場合には、・・・であるが、日本の場合には・・・・・であるために・・・・というやり方でないと柄がぴったり合わない」ということが判明した。今日は、日本人を含め全員にこのことを説明し、皆で分かり合えた。研修生も納得した。中国に戻ってから現場で指摘を受けたらこのように説明するよう教えた。胸のつかえが取れた思いだ・・・・。 |
| ○○日(△曜日) | ○か月目に入った。皆、かなり慣れてきた。日記にも「淋しい」等の文字が少なくなってきた。寒さも和らいできたのと、工場の周りの花々がきれいに咲き始めたことで、気分も良くなっているように思う。日本語の上達も早く、会話もしやすくなってきた。工場内でも他の日本人とよく話をしているようで、なかなか良いペースで進んでいる。 |
| ○○日(△曜日) | 津和野町の国際交流と題して、日本の餅つきを体験する。餅の他には巻き寿司作りを体験。全員で昼食会。自己紹介、質問等。みんな笑顔だった。天文台に希望者を連れて行く。記念写真を撮った。 |
| ○○日(△曜日) | 日本語学習のために日記を義務づけことから、今日の買い物はにぎやかだった。「何を買いますか」「ここはどこですか」「今晩のおかずはなんですか」「どんなお弁当を買いましたか」等、研修生達は、実習生達に聞いていた。私の不在の時には、妻がチェックするため、皆、毎日きちんと書かなければならない。妻にも要領を教え、チェックを義務づけた。 |






