バックナンバー(2005年度)
事例12 修得技能の成果を発揮
-技能実習生が溶接技術コンクールで好成績を修める-
(西日本海外業務支援協同組合の組合員企業日本ホイスト株式会社)
技能実習生は、研修から技能実習への移行後も技能検定上位級の受検、各業界主催のコンテスト等への参加等を通じ、更なるレベルアップを目指しています。検定試験上位級に合格する或いはコンテストで満足のできる結果を出z、最終的には、技能実習生本人にかかっていますが、技術・技能や日本語の修得、精神面での鍛錬等を考慮すると、受入れ団体や受入れ企業、研修・生活指導員、そして周りの研修生・技能実習生からのサポートも非常に重要な要素であると言えます。以下では、2005年10月に広島県福山市において開催された「福山市溶接技術コンクール」において、受入れ先である日本ホイスト株式会社の支援の下、参加者30名中11位という成績を修めた技能実習生の章衛陽さんの例を紹介します。
本コンクールは、福山商工会議所及び福山溶接協会主催で毎年行われ、今回で33回目を迎えます。日本ホイスト株式会社からは、章さんのほかに、同じく技能実習生の劉文華さん、舒健さん、そして日本人従業員3名の計6名が、炭酸ガスアーク溶接の部において、中板(裏あて金あり)の「下向」と「立向」の競技種目で、他の出場者と溶接技能の腕を競い合いました。

参加した技能実習生
(左から:劉文華さん、章衛陽さん、舒健さん)
審査項目及び採点基準は、「下向」と「立向」それぞれの項目の①外観検査:50点、②X線検査:50点、③型曲げ試験:200点、総計600点満点となっており、表彰項目は、個人賞の部と団体賞の部(3人以上が出場する事業所が対象。当該事業所上位3名の個人成績の総計が団体の得点となる)に分かれます。
結果は、個人賞の部で同社の日本人従業員が4位に入賞しました。また、章さんについては、10位までが表彰対象であるため、あと一歩のところで惜しくも入賞を逃してしまいましたが、同社の出場者のうち第2位の成績を修めるという快挙を成し遂げたため、後日社内で独自に表彰されました。

溶接技術コンクール開会式の様子

社内での表彰(中央が章さん)
本コンクールで困難だったこと、感じたことについて、章さんは次のようにコメントしています。
「コンクールへの挑戦は、初めてであり、競技中はとても緊張しました。自分が今まで行ってきた溶接の中では、上手に出来ていると思いましたが、他の方と比べて見ると、自分より上手な方が居るなと思いました。コンクールに出場した事だけに満足するのではなく、これからも研修指導員の指導を受けながら、もっと頑張りたいと思います」
また、同社研修指導員の藤谷さんにお話を伺ったところ、「章さんは中国で溶接の経験を持っていましたが、当初は他の日本人従業員とのレベルの差が明らかであり、製品の重要な箇所を溶接させるまでには及ばない状況でした。しかし、研修活動を日々行っていく中で、過去の経験や自己流のやり方に固執することなく、研修指導員の指導を素直かつ熱心に取り込み、その前向きな姿勢は非常に関心するものがありました」とのことです。
さらに、同社企画管理部の定成さんからは、「当社としては、本コンクールのための特訓は行いませんでしたが、研修生・技能実習生から質問があった時には、社員一同彼等が理解できるまで繰り返し指導してきました。このような日頃からの密接なコミュニケーションが今回の結果に繋がったのではと考えています」というお話がありました。
本コンクールで競う技能は、研修・技能実習を通じ修得する技能を遙かに上回る高度な技能が要求されるため、これまでは本コンクールに研修生や技能実習生が出場することはありませんでした。さらに、外国人の参加は今回が初めてということですが、現在では章さんのレベルが日本人従業員と同じレベルと思える程に達し、他の研修生や技能実習生の模範となるまでに成長したため、会社として、章さん達3名の技能実習生を出場させることに決めたそうです。
日本語の修得が思い通りに進まないことが原因で、時間が経過するにつれ研修・技能実習への意欲が低下する者が多い中、章さんは、「特に、研修生には、日本語の勉強や技術などを身につけることは、必要だと思います。また、これは本人のためにもなると思います」と、技術的な専門用語を含めた日本語の修得そして技術・技能の向上に熱心に励んでおり、他の研修生・技能実習生とともに日本人従業員も彼の前向きな姿勢に刺激を受けているとのことです。
「日本の先進技術や現場管理などをたくさん学びたいと思います。今後故郷の発展のために頑張りたいと思います」と語る章さんは、「福山市溶接技術コンクール」から約4ヶ月後の2006年1月末に、JIS溶接技能者評価試験を受検する等、更なるステップアップを図っています。

炭酸ガスアーク溶接の「立向」をする章さん(競技中の様子)




