バックナンバー(2005年度)
事例10 縫製の上位級合格に向けて励む技能実習生(株式会社ベルモード)
秋田県由利本荘市にある株式会社ベルモードは、婦人服の製造会社で、「ファッションを通し社会に貢献し、明日に向かって豊かで楽しい会社にすべく努力する」という理念のもとお客様に喜ばれる服造りを目指しています。研修生の受入れはこの理念を実践するために1999年から開始し、第一次受入れ機関の本荘由利繊維協同組合の下で婦人子供服製造職種の研修生を中国から受入れています。同社社長稲葉氏によると実際に研修生受入れ事業を始めると、技術・技能の伝承の中で、日本人ベテラン社員が活性化されたり職場の雰囲気が明るくなったりするなど様々な効果が起こりましたが、それは研修生たちが大変な熱意を持って取り組んでいることによるものであったそうです。そして、同社として熱意を持った研修生・技能実習生の更なる技術・技能修得意欲を支援するため技能検定上位級合格推奨を行うようになり、本年度は3級を3名が、基礎1級を3名が受検し、全員が合格しました。
稲葉社長は、上位級受検の目標を持たせることにより、技能実習生たちが基本技術の修得に一層の努力を行い、それにより物づくりの楽しさが分かってくると言います。同社は社長自らが研修生に直接技術・技能の伝達を行っており、なかでも優れた技能実習生は日本人も含めた班の班長として任せ、能力を発揮できるサポート体制を取っています。

(技能実習生に自ら指導を行う稲葉社長(左))

(加工指示書をチェックする班長の技能実習生(中央))
稲葉社長は「作業技術を修得・修練するだけではなく、全体を管理する力も身に付けられる研修にすべきであり、日本企業側も管理能力を付加価値として与えなければグローバルな競争に生き残れない。例えば技術は優れているのに班員への指示は不得意な技能実習生もおり、そういった技能実習生には日本企業の特徴の協調性や"和"といったものも身に付けさせたい」と話しています。こういった各人の能力に合わせて常に"もう一足先"の目標を設定することで、レベルアップを図っており、この目標の延長線上に上位級の取得を置いています。同社では加工指示書、先上げ結果での変更等も班長の技能実習生を中心に自らチェックし、指導員の助言を参考にしながら実施しているため、上位級の合格には必須である日本語能力も技術・技能の修得とともに身に付けられる体制が整っています。
また本荘由利繊維協同組合の研修委員でもある稲葉氏は理事長の高橋氏とともに、組合としての中・長期的な視点からみた独自性のある取組みも同時に模索しています。この背景には、現在は中国上海地区から研修生の受入れができても、今後は中国の一人っ子政策や受入れ企業の増加により、優秀な研修生の募集が難しくなるという考えがあります。それが、研修生を惹きつける魅力ある研修・技能実習内容が求められると考えて、彼らが帰国後にさらに大学等で日本語を学んで母国で管理職を目指していくような指導を組合として実施している理由です。
上位級に合格した技能実習生たちは、3級合格が自ら修得した技術に対する自信になるとともに3年間の日本での滞在の成果であると喜んでいます。基礎1級に合格した技能実習生は「試験は難しかったが、日本語の勉強を皆と一緒にして、合格することができて良かった。母国に帰ったら合格したと(周りに)言いたい」と喜んでおり、自らが製作した婦人服を誇らしげに見せてくれました。

(稲葉研修委員(左)と高橋理事長(右))

(自分で仕立てた服を着る技能実習生たち)




