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最優秀賞 『私の日記』

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ユニオンエレックス株式会社

レ・ティ・キム・オアン
LE THI KIM OANH
(ベトナム、技能実習生、電子機器組立て)

 毎日の出来事を残す日記を書くのは私の習慣だ。以下にその一部を紹介したいと思う。
 今朝、「管理人さんの退職のお知らせ」という通知書を工場長から受け取って、私は自分の目を疑った。そして会社に入って管理人さんと出会った日から今までの事を自然に思い出していた。
 その日、会社の食堂で常務と一緒にテーブルの周りに私達が座ると、コーヒーのいい香りがした。そして管理人さんが、すぐにミルクの入ったコーヒーを出してくれた。同席していた会社の人達も親切で、ゆっくりとした日本語で話してくれたので日本語がまだ上手でない私達に安心感を与えてくれた。
 その会話の終わりに、私は紙コップを片付け始めた。するとコップからコーヒーがこぼれてしまった。「第一印象はとても大事だ。」と、日本に来る前に日本語の先生から言われたことを思い出して、私は顔が青くなった。すると「布巾があるよ。」と、すぐに管理人さんが来て、一緒にコーヒーを拭いてくれた。それから笑顔で身振りを交えて、コーヒーがこぼれた原因を私に説明してくれた。紙コップにコーヒーが残っていたのに私はコップを重ねたのでこぼれてしまったのだ。会社での私の生活はこのようにして始まった。
 仕事は八時からだが、次の日の朝、私達は遅れないように七時半に会社に行った。しかし管理人さんは既にいて、ロッカーの使い方を教えてくれたばかりでなく、私達が作業を始めるまでいてくれた。
 仕事が終わってから、私達は管理人さんに挨拶をしたいと思い、探したがいなかったので帰る事にした。ところが寮に着いたら管理人さんが既にいてびっくりした。「寮の事を案内してあげたいから。」との事だった。管理人さんに寮の使い方を教えてもらった後で、夕食を作って一緒に食べた。その後で管理人さんは「皆さん、こっちに来てください。」と私達を玄関に呼び出した。靴を置く向きが違うと指摘された。「ありがとう」と私が言うと突然管理人さんの表情が厳しくなってきて、「ワンさん!『ございます』まで丁寧に言ってください!」と言われた。
 今日まで管理人さんはずっと私達の側にいてくれた。時には厳しく、時には優しく私達に接してくれた。あれから私はコーヒーをこぼしたり、靴の向きを間違えたりしていない。又、丁寧な日本語を話せるようになってきた。知らぬ間に管理人さんの作ってくれたコーヒーは、私にとって母のコーヒーのようになっていた。
 このような事を思い出しながら、改めて「管理人さんは入院しているご主人のお世話をするために退職する」とのお知らせを見て、涙がこぼれそうになった。しかし、管理人さんの「強くなってほしい」ということばを思い出して、私は落ち着いて工場長の説明を聞くことが出来た。
 明日から管理人さんはもう来ないが、「私達は管理人さんが言ったように、もう強くなっているので安心してください。」と、管理人さんに伝えたいと思う。

受賞の喜び

 今朝、私は作文が最優秀賞に選ばれたってのを通知されて、すごく嬉しなった。本当に信じられませんでした。今でもびっくりしています。
 今回の受賞は単に私ひとりの力によってなされたものではなくて、日本の生活は先生や会社の人などに助けてもらっています。これからもっともっと仕事や日本語の勉強などを頑張って、この賞にふさわしいために。そして日記を書くことを続けたいと思います。
 本当にありがとうございました。