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優秀賞 『忘れられない出来事』

写真

ダイシン化工 株式会社

王 寧(技能実習生)
WANG NING
(中国、プラスチック成形)

 日本に来てあっと言う間に一年余りが経った。時間の経過に連れ日本に来たばかりの時の新奇な感覚は段段希薄になってしまった。多分、日本の生活に慣れてきた為だろうと思う。しかし、或る出来事だけは心に深く記憶されている。そして常に眼前に浮かんで、私を激励している

それは去年8月のある日曜日の事である。私は何時もの習慣に従います。まず、寮の前電話ボックスで両親に国際電話を掛け自分のことを報告します。その後スーパーで買い物をし次の週の食物を準備します。その日も例外ではありません。
 スーパーには美しくて美味しそうな物がいっぱい有ります。私も一方で商品を選びながら一方で色色美しく着飾った人々を眺めます。

見る見るうちに私の籠は食料で一杯になりました。代金支払のため並びました。店員の人は人ひとりのお客様に対し非常に丁寧で親切です。間もなく私の番になりました。

「ありがとうございます。5200円です。」A店員は優しく言いました。私は急いで手をポケットに入れました。「あれ、財布が無い。何故?」私はすぐさま全部のポケットを引っくりかえしましたが、財布の影も見えません。私は全身汗だきました。「たいへんすみません。財布を無くしました…」私は直ぐに帰ろうとしました。
「ちょっと待ってください。確かにここのスーパーで無くしたのですか?」A店員は関切に尋ねました。

「たぶん…」

「お客様が財布を無くされました。もし拾われたらレジまでお届け下さい。」落とし物の放送が流れました。

 私は焦りながら待つと共に今日起きた事を思い出していました。

あー思い出しました。きっと今朝電話した時電話機の上に置いたのに違いありません。私はほっとしてA店員に状況を説明してから、自転車で飛んで帰りました。でも、息も絶え絶え電話ボックスに着いた時、中には電話機一台有るだけでは何にも有りません。

 「しまった。多分他の人に拾われてしまったのだろう。中には9000円…いやもっと大切な銀行カードと外国人登録書が入っている。」私は空気の抜けたボールのように意気消沈し自転車を押しながら帰りました。

 「そんなに落胆するなよ。気持を楽にして。先ずIPMの石坂さんに電話すれば。彼の女なら何か良心方法を見付けてくれるかも。」同僚の張さんが言いました。

 「うーん、そうするより仕方無いな…。」私は直ぐに石坂さんに連絡しました。

 「王さん、焦らないでね。私は直ぐに浦宗さんに電話し警察署に問い合わせてもらいましょう。まだ望みが有りますよ。」私の状況を聞いた後このように慰めてくれました。

 その夜は特に長かったです。私は日本で初めての眠れない一夜を過ごしました。

 翌朝、元気の無い私は工場に一歩踏み入れた時浦宗課長が呼びました。「王さん、良い知らせがあるよ。財布が見つかった。今さっき警察署からの電話がありましたよ。」

 「本当ですか…?」私は自分の耳を疑いました。このような事は本国ではただテレビドラマの中でしか見られないことです。今日、異国の日本で本当に私の身の上に起こりました。私は感激して浦宗課にお礼を言いました。

 受け取りは簡単でした。しかし、たいへん遺憾ながら恩人に直接、お礼を言う事が出来ませんでした。名前さえ分かりません。只一人の日本人…と言うだけしか。  この事が有ってからほぼ一年が経ちます。しかし私の記憶の中では昨日起こった事のようにはっきりと残こています。一人の研修生が見知らぬ国で異郷の人達から私利無欲の思いやりと助けを受けました。A店員さん、石坂さん、浦宗課長、警察官の方、拾得物をネコババされなかった友人の方…皆さん、ありがとう。

 時下、中日関係の緊迫したニュースがよく報導されます。毎回、かかるニュースを見ると心がとても痛みます。実際は中国人は私が理解する日本人と同じように友好的で善良です。両国の人民が互いに理解する事を望みます。仲の良い友人としての友誼を打ち立て共に発展、繁栄したいものです。

 中日友誼の樹が常に青々と育ちますように…

受賞の喜び

 先日、生産管理の西口さんが私を社長室に連れて行きました。「王寧さん、おめでとう」社長が言いました。私はおめでとうって何かなぁと思いながらやや緊張して立っていると「日本語作文コンクールの作文が入賞したよ、二番の優秀賞だよ」と社長が言いました。私は「優秀賞」と聞いた時、言葉が出なくなるほど大きな喜びに包まれました。
 私は今、仕事がうまく出来る様に一生懸命日本語を勉強しています。そして日本に滞在している間にもっと日本人の生活様式や習慣等を理解したいと思っています。今回の受賞を契機として、更に日本語の力を上達させることにより日本の現状や歴史に対し認識を益益深め、将来は日中関係の友好と交流に努力したいと思います。
 此度の受賞は石田先生や浦宗課長や石坂先生等のご指導の賜物であり、ここに心から感謝したいと思います。